刺繍ワッペンをご検討中のお客様からよくいただくご質問のひとつに、
「アイロン接着タイプのワッペンで、縁をメロー仕上げ(オーバーロック)にできますか?」
というものがあります。
結論から言うと、基本的にメローエッジとアイロン接着シートの併用はおすすめしておりません。
その理由について、専門的な視点からわかりやすく解説いたします。
メローエッジとアイロン接着シートの併用について
そもそもメローエッジとは?
メローエッジ(またはオーバーロック縫製)は、ワッペンの縁をぐるりと巻くように糸でかがる加工です。
丸や楕円形など、角がない柔らかな形状のワッペンによく使われ、立体感と高級感がある仕上がりになります。
ただしこのメローエッジ、厚みが出るという特性があるため、裏面に別の加工を加える際にはいくつかの制約が出てきます。
なぜ“アイロン接着+メロー”が併用できないのか?
1. 縁が厚くなりすぎる
メローエッジは糸を重ねて縁を包むため、ワッペンの端がかなり厚くなります。
その上からアイロン接着シートを貼ろうとすると、糊の層が均等に貼れず、接着面にムラができることが多々あります。
結果として、剥がれやすい、浮いてしまう、端がめくれるなどの問題に繋がってしまいます。
2. 熱で糸や糊が影響を受ける
アイロン接着を行う際の温度(約150~160℃)は、メロー糸や接着シートの素材にとって大きな負担となります。
このとき、
-
糸が縮んでしまう
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糊が溶けすぎてズレる
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縁が波打つように歪む
といった不具合が起きやすく、美しい仕上がりを維持できないリスクが高まります。
3. 接着シートが端までしっかり貼れない
メロー部分の縁は、表面に段差や凹凸があります。
この段差があることで、接着シートがワッペンの端までピタッと密着できません。
一見貼れたように見えても、洗濯や摩擦で徐々に剥がれてくるケースが多く、長期的な使用には向かないのです。
まとめ:用途に合わせた加工方法を選びましょう
アイロン接着をご希望の方には、ヒートカット(熱カット)+アイロンシート仕上げの組み合わせが最も安定しており、推奨される仕様です。
一方で、メローエッジでしっかりとした縁取りをご希望の場合は、縫い付け専用ワッペンとして使用するのがベストです。
(オルターワークスでは基本的にオーバーロック加工は受け付けておりませんが、1種につき200枚以上のご注文に限り、アイロン接着シートなしのオーバーロック加工を承っております。)
オルターワークスからのご提案
当社では、ワッペンの使用目的や取り付け方法に合わせて最適な仕様をご提案しております。
アイロンで取り付けたいのか、衣類に縫い付けるのか、屋外用として耐久性を重視したいのか——
そういった「使い方」から考えることで、より満足度の高いワッペン作りが可能になります。
「どの仕様がいいかわからない…」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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