【連載03】「既成Tシャツ感」からの卒業には洗濯ネームの付け替え

  1. タグひとつで、ブランドの印象は変わる
  2. 洗濯ネームとは? ブランドタグとの違い
    1. 洗濯ネームとは
      1. なぜ品質表示ラベルが法的に必要なのか?
    2. ブランドタグとの違い
    3. 無地ボディメーカーの例外:United Athleのようなケース
    4. ブランドタグと洗濯ネームは分けるべき?
      1. ① コスト面での判断
      2. ② 輸入品か否か
      3. 今回の文脈では?
  3. 仕入れた商品タグのままではもったいない?
    1. 「既製品にロゴを載せただけ」と思われる理由
    2. ブランド体験の一貫性が損なわれる
    3. 完成度を一段引き上げる洗濯ネーム
  4. 洗濯ネームは小さな心配りで伝わる安心感とらしさ
    1. 表示義務を満たしつつ、安心感を届ける
    2. ブランドの“らしさ”をさりげなく伝える
    3. サイズ表記も重要な情報のひとつ
  5. 実際の取り付け手順と注意点
    1. 基本的な取り付けステップ
    2. 発送に関する目安
  6. 入稿データの作成:必要な情報とは?
  7. 意外とハードルは低い?コスト感と進め方
    1. 最小ロット100枚〜で対応可能
    2. 洗濯ネームのみ、付け替え込みの価格シュミレーション
      1. ご自身で付け替える場合(洗濯ネームのみの価格)
      2. オルターワークスで付け替える場合(付け替え込みの価格)
  8. 見えないところにこそ“信頼”が宿る
    1. 洗濯ネームはどこに付け替えるの?
    2. 取り付ける位置は使用用途や予算次第
    3. ユーザーはタグも見ている
      1. ブランド体験はディテールで決まる
  9. まとめ:Tシャツの完成度は「タグ」で決まる
  10. 次回予告:オリジナルブランドタグでブランドの顔を作ろう

タグひとつで、ブランドの印象は変わる

「オリジナルプリントでTシャツは作れた。でも、なんだかまだオリジナル感が弱い」

そんなふうに感じたときこそ、少し気にしてみたいのが洗濯ネームです。

ユーザーはタグまで見ていないようで、意外と目に入っています。タグひとつで、そのブランドが「どこまでこだわっているのか」が「感覚」として伝わるのです。

洗濯ネームのデザイン例

洗濯ネームデザイン例

 

洗濯ネームとは? ブランドタグとの違い

洗濯ネームとは

洗濯ネームとは、製品の素材成分や洗濯方法などを表示する「法的に表示義務のある情報タグ」です。一般的には側面や背面首元の内側に縫い付けられています。

なぜ品質表示ラベルが法的に必要なのか?

日本では、消費者庁が定める「家庭用品品質表示法」により、衣類には消費者が適切に使用・洗濯・保管できるようにするため、一定の情報を表示することが義務づけられています。

たとえば、

  • 素材の混率(例:綿100%)
  • 洗濯・乾燥・アイロンなどのケア方法
  • 原産国表示(例:MADE IN CHINA、日本製)
  • 販売者表示(例:株式会社○○+電話番号または住所)

などは、すべて消費者の安全性と利便性を守るための情報です。

誤った取り扱いによって衣類が傷んでしまった場合でも、表示が適切であれば「自己責任」として処理されます。つまり、トラブル防止の役割も担っているのです。

ブランドタグとの違い

一方、ブランドタグ(ブランドネーム)は、ロゴやブランド名などを表示する“ブランディング”のためのタグで、法的な義務はありません。

ただし、ここで注意したいのが商標権に関する問題です。

たとえば、既製品に付いているブランドタグをそのまま残してアップサイクルやリメイク品として販売した場合本来のブランドと無関係にもかかわらず、そのまま販売されると消費者が「正規品」と誤認してしまう恐れがあります

このように、元のブランド名やロゴが付いたまま別の事業者が販売することは、

  • 商標権の侵害
  • 不正競争防止法違反

などの法的リスクを生む可能性があると、専門家からも指摘されています。

そのため、オリジナルブランドとして商品を展開する際には、既存のブランドタグは必ず取り除き、自社のブランドタグに付け替えることが重要です。

無地ボディメーカーの例外:United Athleのようなケース

商標登録されているブランドタグが付いた商品を加工・販売する場合、基本的には出所の誤認を招く可能性があるため、商標権侵害や不正競争防止法に抵触するおそれがあります。特に、元のブランドが明確にその名称やロゴを「他者による販売目的での使用を禁止」している場合は要注意です。

ただし、United Athleのような「無地ボディ専門メーカー」の場合は事情が異なります。
United Athle(CAB社)は公式サイトやCSRページで、

「私たちが手掛けているのは、プリントや刺繍などの加工販売を前提とした無地ウェア製品です。顧客やユーザーが自由に彩りを加えて完成させる、言わば“真っ白なキャンバス”です。」

と明記しており、オリジナルブランドや個人による再販、OEM用途を想定して製品を提供している姿勢が読み取れます。

また、「タグを外してはいけない」「加工して販売することを禁じる」といった商標ガイドラインや注意喚起も設けられていません。そのため、United Athleのような無地Tシャツブランドに関しては、常識の範囲内であればタグを残したままの再販も黙認されていると考えられます。

 

ブランドタグと洗濯ネームは分けるべき?

初心者の方からよくある質問のひとつに、
「ブランドタグ(ブランドネーム)と洗濯ネーム(品質表示タグ)を分けるべきか?」
という疑問があります。

結論から言えば、分けてもいいし、分けなくても問題はありません。ただし、その判断は以下のような要因によって変わってきます。

 

① コスト面での判断

たとえば、同じTシャツを大量に展開する場合
わざわざ「ブランドタグ」「品質表示タグ」の2枚を縫い付けるよりも、ブランドロゴと品質表示を1枚にまとめたネームを作ってしまった方が安く済むこともあります。

特に洗濯ネームとブランドタグが同じ場所(首元など)に付くケースでは、一体型のタグがコスト的にも作業的にも効率的です。

 

② 輸入品か否か

たとえば、海外ブランドの商品をセレクトショップなどが仕入れて販売する際は、
日本の家庭用品品質表示法に基づいた「日本語の品質表示ネーム」が必要になります。

この場合、元々ついている海外の品質表示タグはそのまま残し、日本語タグを重ねて縫い付けるといった対応が一般的です。
ブランド名(商標)は仕入れ品としてそのまま残す必要があるため、ブランドタグには手を加えず、品質表示だけを補足するという形式です。

 

今回の文脈では?

このガイドは「Tシャツから始めるアパレルブランド」を前提としているため、
必ずしも「ブランドタグと洗濯ネームを分けるべき」と考える必要はありません。

ただし、こうした基礎知識を知っておくことで、
将来的にタグ設計や発注時に余計な混乱を避けられるようになります。

 

仕入れた商品タグのままではもったいない?

「既製品にロゴを載せただけ」と思われる理由

無地Tシャツには、メーカー名や品番が印刷された洗濯ネームが付属しています。それが残っていると、どれだけオリジナルデザインをしても“仕入れただけ・プリントを載せただけ”に見えてしまいがちです。

ブランド体験の一貫性が損なわれる

せっかくタグやパッケージにこだわっても、タグひとつでその世界観が台無しに。「あ、ユナイテッドアスレのまま?」と感じさせるのはもったいないと思いませんか?

既製品にプリントを載せるだけなら、既に誰でも簡単に注文して作れる時代です。独自の洗濯ネームに付け替えるだけでも、ブランド体験の向上、プロダクトの独自性向上が見込めます。

画像はメーカータグがそのまま残っている状態です。

ユナイテッドアスレ5010−01

完成度を一段引き上げる洗濯ネーム

ネーム一つ変えるだけで、受け手の印象は一気に“プロダクトらしさ”へと変わります。既製品感が消え、グッズではなく“商品”として認識されるのです。

特に企業が自社の一事業として展開する場合、必須と言ってもいいでしょう。販売元の表記がタグにきちんと見える形で付いていることで、消費者の安心度は確実に向上します。

 

洗濯ネームは小さな心配りで伝わる安心感とらしさ

表示義務を満たしつつ、安心感を届ける

素材や洗濯方法を明記することで、ユーザーは安心して着用・洗濯できます。とくにギフトやオンライン販売では信頼性に直結します。

ブランドの“らしさ”をさりげなく伝える

ロゴやブランド名を入れるだけでも、オリジナリティと一貫性が演出可能です。小さいけれど、目に留まる場所だからこそ意味があります。

(画像挿入:ロゴ入り洗濯ネームの実例写真)

サイズ表記も重要な情報のひとつ

サイズ織りネーム

タグにはサイズ表記も含めましょう。またはサイズネームも一緒に取り付けましょう。見やすい場所にS / M / Lなどのサイズ表記があるだけで、店頭での購入時に選びやすくなります。

または、洗濯ネームにサイズは入れずに、サイズネームを別途用意し、サイズ毎に縫い付けるという方法もございます。この方法だと、洗濯ネームは1種類だけ用意して、サイズ毎に洗濯ネームを作る必要がなくなります。その代わり、縫製する手間は増えてしまうので、一度に作成するTシャツのサイズ毎の数量、洗濯ネームの最小ロットを考慮して、コストの安い方法を取り入れればよいと思います。

▶ サイズネームの注文はこちら

 

実際の取り付け手順と注意点

基本的な取り付けステップ

  1. 既存タグのカットまたは完全除去(完全除去について詳しくはこちら)
  2. 新しい洗濯ネームの縫い付け(付け替えの価格表はこちら)
  3. 最終チェックと検品
  4. 必要であればたたみ袋入れやサイズシール貼り、下げ札付けなども可能です。
  5. 発送

発送に関する目安

  • 3辺の合計60cm以下 2kg以下の段ボールでTシャツが10〜15枚程度入ります。
  • 3辺の合計100cm以下 10kg以下の段ボールでTシャツが30〜40枚程度入ります。
  • 3辺の合計140cm以下 20kg以下の段ボールでTシャツが80〜90枚程度入ります。

配送先・サイズ別送料についての価格表はこちら

 

入稿データの作成:必要な情報とは?

項目 説明
素材表示(必須) 綿100%、ポリエステル65% 綿35%など
洗濯方法(必須) 洗濯機使用可、アイロン不可など(記号含む)
原産国表示(必須) MADE IN CHINA、日本製など
サイズ表示 S / M / Lなど(別途サイズネームで代替え可能)
ブランド要素 ブランド名・URL・ロゴなど任意で記載可能
販売元情報(必須) 会社名または販売者個人名・住所または電話番号

 

意外とハードルは低い?コスト感と進め方

最小ロット100枚〜で対応可能

たとえばオルターワークスでは、以下のような構成で小ロット対応しています。

  • 洗濯ネーム制作費:15円/枚〜(※数量により変動 ※最小ロット100枚以上)
    余った洗濯ネームは次回の付け替え時に持ち込みタグとしてご利用できます。
  • 取付加工費:85円/着〜(※数量により変動)
  • 入稿データ作成代行:300円/デザイン
  • 送料:330円(ネコポス便)または800円(宅配便)
    ※1000枚以上は宅配便扱いになります。

 

洗濯ネームのみ、付け替え込みの価格シュミレーション

ご自身で付け替える場合(洗濯ネームのみの価格)

<入稿データまでご依頼される場合>

項目 単価 数量 小計
洗濯ネーム 15円 100枚 1,500円
入稿データ作成代行 300円 1デザイン 300円
送料 330円
合計(税別) 2,130円

<入稿データはご自身で作成される場合>

項目 単価 数量 小計
洗濯ネーム 15円 100枚 1,500円
送料 330円
合計(税別) 1,830円

オルターワークスで付け替える場合(付け替え込みの価格)

<付け替え60着以下の場合>

項目 単価 数量 小計
洗濯ネーム 15円 100枚 1,500円
入稿データ作成代行 300円 1デザイン 300円
工場間送料 330円
ケアラベル縫製(タグカット込み) 115円 30着 3,450円
小ロット作業手数料 1,000円
返送料(東京まで仮定) 1,000円
合計(税別) 7,580円

※余った洗濯ネーム70枚は同梱して発送いたします。次回の付け替え時に再利用可能です。

<付け替え61着以上の場合>

項目 単価 数量 小計
洗濯ネーム 15円 100枚 1,500円
入稿データ作成代行 300円 1デザイン 300円
工場間送料 330円
ケアラベル縫製(タグカット込み) 85円 100着 8,500円
返送料(東京まで仮定) 1,650円
合計(税別) 12,280円

 

見えないところにこそ“信頼”が宿る

洗濯ネームはどこに付け替えるの?

オルターワークスでは熱転写印字という耐久性は低いがコストは安いという方式でプリントした洗濯ネームになるため、基本的に衿首に付け替えることはおすすめしていません。(肌との接触が多く、洗濯による劣化が早いため)衿首にはやはり耐久性の高い織りネーム、もしくはシルク印刷で作るプリントネームをおすすめします。
(以下の参考画像参照)

衿首の洗濯ネームをブランドネームに付け替える例

衿首の洗濯ネームをブランドネームに付け替える例

 

では、無地ボディの衿首に付いている洗濯ネームを除去した後は、どこに付けるのかというと、圧倒的に裾が多いです。

胴丸ボディのTシャツが多いため、裾の裏側に取り付けることが多くなりますが、ボディによっては脇に取り付けることも多いです。
(以下の参考画像参照)

シャツの裾にある生産国タグを洗濯ネームに付け替える例

シャツの裾にある生産国タグを洗濯ネームに付け替える例

取り付ける位置は使用用途や予算次第

このように、ほぼ見えない部分に取り付ける洗濯ネームですが、衿首に取り付けてももちろん大丈夫です。ただし、肌との接触が多く、洗濯による劣化が早いので、衿首という割と目立つ部分への付け替えはあまりおすすめはしておりません。この辺は販売する価格や使用用途(イベントや宣伝配布用のコストをかけられないものなど)によって、織りネームなどを用意するほどの予算がない場合などは、洗濯ネームを衿首に付ける場合も多々あります。

画像はここ

ユーザーはタグも見ている

しかしながら多くの人が購入後、無意識に洗濯ネームを見ています。「しっかり作り込んでいるな」と感じるきっかけになり得るポイントです。

自社のHPがあれば、URLを入れたり、QRコードを入れたりも自由です。

ブランド体験はディテールで決まる

タグの他にも包装、下げ札、メッセージカード…そうした“細部の積み重ね”がブランド体験を形成します。

「小さな投資が、大きな信頼に」

洗濯ネームはコストも小さく済むパーツですが、そこで手を抜かない姿勢は「ブランドの本気度」をユーザーに伝えます。

(画像挿入:洗濯ネームあり/なしの比較写真+コメント入り)

 

まとめ:Tシャツの完成度は「タグ」で決まる

既成Tシャツ感からの脱出をするための工夫として、洗濯ネームの付け替えは低コストでできるコスパの良い方法です。

無地Tシャツ感を払拭し、安心感と信頼感をプラスする洗濯ネーム。小さなタグに込められたブランドの想いが、ファンを育ててくれるはずです。

「見えないところにも気は抜かない」
そんな姿勢こそが、ブランドの未来を作る一つのこだわりかもしれません。

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次回予告:オリジナルブランドタグでブランドの顔を作ろう

第4回目の連載は、Tシャツの衿裏や裾や袖にピスネームをつけることによって、ブランドの顔としてサイズは小さいけど、大事なブランドアイデンティティーを定着させることを考えます。

▶ 第4回:オリジナルブランドタグで
ブランドの顔を作ろう

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