こんにちは、Alter Works(オルターワークス)です。今日は、私たちが提供しているオリジナルのブランドネームタグ、別名「織りネーム」についてお話ししたいと思います。この名前は聞き慣れないかもしれませんが、実はあなたのお気に入りのアパレル商品にも必ずと言っていいほど付いているものです。しかし、お問い合わせを多数いただく中で、その作り方や用語の意味について誤解や間違った認識があることに気づきました。
そこで今回は、織りネームの作り方について少し掘り下げて説明や解説をしてみようと思います。
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織りネームとは?
織りネームは、アパレル商品に付けられるブランドの名前やロゴが織り込まれたタグのことを指します。これは、ブランドのアイデンティティを示す重要な要素であり、ブランドの認知度向上、商品の品質やオリジナリティを表現するための魅力的なツールです。
織りネームの作り方
ここで一つ、よくある誤解を解き明かしましょう。織りネームは「ベースの生地に刺繍をする」という方法で作られるわけではありません。実際には、織機によって糸を織り込むことで直接作成されます。つまり、織りネームは一枚の布や生地ではなく、細かい糸が交差することで形成される独自の「織物」なのです。
したがってベース生地という概念は無く、糸と糸の組み合わせになります。そのため、織りネーム全体のデザインをまるごと迷彩柄にする、ストライプ柄にするといったデザインも可能です。
また素材についてですが、弊社の織りネームはポリエステル糸を使用しております。コットンやその他の素材の糸で作成できるかお問い合わせをいただくこともございますが、織りネームはポリエステルのみとなります。プリントネームはサテンテープ、コットンテープが選べます。
この織り込みのプロセスは、デザインの複雑さや色の数によりますが、非常に精密で時間を要する作業です。しかし、その結果として生まれる織りネームは、色落ちや摩耗に強く、長期間にわたってその美しさを保つことができます。
織機とは?
織機は、織物を作るための機械です。縦糸(経糸)と横糸(緯糸)を交差させて布を作り出します。織りネームの製造に使用される織機は、通常、コンピュータ制御のジャカード織機ですが、シャトル織機やレピア織機を使用することもあります。お客様から織機の指定はできません。ご容赦ください。
ジャガード織機、シャトル織機、レピア織機の違い
- ジャガード織機: ジャガード織機は、複雑なパターンやデザインを織り出すことができる特殊な織機です。この織機は、各糸を個別に制御することができ、その結果、非常に詳細なデザインや複雑なパターンを織り出すことが可能になります。これは、織りネームの製造において非常に重要で、ブランドのロゴや名前を精密に再現することを可能にします。
- シャトル織機: シャトル織機は、織物の製造に最も一般的に使用される伝統的な織機です。シャトルと呼ばれる部品が縦糸(経糸)の間を通過し、横糸(緯糸)を挿入します。シャトル織機は、比較的シンプルなデザインの織物を効率的に製造することができますが、複雑なデザインやパターンの製造は難しい場合があります。
- レピア織機: レピア織機は、シャトル織機と同様に織物を製造しますが、シャトルの代わりにレピアと呼ばれる部品を使用します。レピア織機は、シャトル織機よりも高速で、より広い幅の織物を製造することができます。しかし、レピア織機はシャトル織機やジャガード織機に比べて機械が複雑で、メンテナンスが必要です。
織りネームができるまで:ステップ毎に説明
織りネームの作り方をステップに分けて、出来る限り分かりやすく説明していきます。
ステップ1:ロゴの用意
最初のステップは、お客様自身が自分のブランドのビジョンを理解し、ブランドのロゴ、色、フォント、スタイルなど、ブランドのアイデンティティを表現する要素をまとめます。
ステップ2:デザインの作成
次に、弊社のデザインチームがあなたのブランドロゴを使用し、織りネームのレイアウトを行います。ロゴの配置、余白等を考慮したデザインデータを作成します。これは、イラストレーターなどのデジタルツールを使用してデザインを作成し、それを織りネームを生産するのに適切なデータ形式にします。この段階で、色の選択、糸の種類、織り方などを決めていきます。
デザインチームからお客様へデザインの承認を依頼し、お客様からの修正などがあれば、手直し等を行い、最終的なお客様の承認後に工場への入稿準備が整ったことになります。
※お客様自身で入稿データを作成していただくことも可能です。その場合はお客様のデータを弊社でチェックを行い、再現が難しい場合などは修正を検討していただくこともございます。
ステップ3:パターンデータの作成
入稿データが完成したら、ここから先は工場の担当パターンナーへと引き継がれます。デザインデータ(入稿データ)はパターンナーによって織機で織物を作成するためのデータへと作り替えられます。デジタルデータから実際の織物へと変換される段階です。この段階でサンプル作成および微調整が行われ、織物として生産できる体制になります。デザインが複雑で色数が多い場合など、このデジタルデータからパターンデータを作成するのに余計に時間がかかる場合があります。
ステップ4:本生産
最後に、承認されたデザインを基に、織りネームの本生産が開始されます。これは、織りネーム専用の織機を使用して生産が行われます。一つ一つの織りネームの一貫した品質を得るために、適切な品質管理の下に行われます。
ステップ5:納品
生産が完了した織りネームは中国の生産工場から上海の検品施設を経由して大阪の弊社へ国際輸送されます。弊社に到着した織りネームは配送チームにより、個々のお客様へと速やかに配送処理を行います。
ステップ2のデザインデータ(入稿データ)を工場に入稿してからお客様の元へお届けできる期間はおおよそ3〜4週間程度となります。これには注文の混み具合や生産工場の長期休暇(春節休暇)等で4週間を超える場合もございます。
以上が織りネームを生産するための製造プロセスとなります。この後は、織りネームに適したデザイン、プリントネームとの違いなどについてお話しようと思います。
再現が難しいデザインとは
織りネームは細かなデザインもある程度再現できますが、それでも一部のデザインは再現が難しいものがあります。それでは、どのようなデザインが難しいのでしょうか?
複雑なグラデーション
織りネームは、色の選択において比較的自由ですが、複雑なグラデーションや微妙な色の違いは再現が難しい場合があります。これは、織りネームが糸で作られるため、印刷物のように細かい色の変化を表現するのが難しいからです。
高解像度の緻密な図案
高解像度のイメージ、いわゆる精密な描写が多く非常に複雑なデザインも、織りネームでは再現が難しい場合があります。これは、織りネームのサイズ制限と糸の太さによるもので、非常に細かい部分は潰れたり見えなくなる可能性があります。
弊社で推奨している文字サイズなどは以下になりますので参考にしてください。
・英数字:1.5mm以上
・ひらがな・カタカナ:3mm以上
・漢字:5mm以上
・線幅:0.5mm以上
多色デザイン
多色のデザインも、織りネームでは再現が難しい場合があります。これは、各色に対応する糸を設定する必要があり、色の数が増えると製造プロセスが複雑になるためです。写真のような情報量の多いデザインも同じように再現が難しくなります。また、色の数が増えると、織りネームのコストも上がります。(*オルターワークスでは4色まで同一料金となります。5色目以降は1色につき1000円の追加料金をいただいております。)
織りネームは、アパレルブランドのアイデンティティを表現する魅力的なツールですが、一部のデザインは再現が難しい場合があります。しかし、これらの制限を理解し、それに合わせてデザインを調整することで、あなたのブランドを最高の形で表現することが可能です。
プリントネームと織りネームの違い
プリントネームは、ブランドの名前やロゴを布地に直接印刷する方法です。これは、スクリーン印刷やデジタル印刷などの技術を使用して行われます。プリントネームは比較的安価で、大量生産に適しています。また、複雑なグラフィックや高解像度のイメージも再現可能です。
しかし、プリントネームにもいくつかの欠点があります。たとえば、洗濯や摩耗により時間とともに色が褪せたり、剥がれたりする可能性があります。
一方、織りネームは、ブランドの名前やロゴを糸で織り込む方法です。織機を使用して作成されますので、織りネームは色落ちや摩耗に強く、長期間にわたってその美しさを保つことができます。
とはいえ、織りネームはプリントネームに比べてタグの大きさや数量によってはコストが高くなる場合があります。また、複雑なグラデーションや高解像度のイメージの再現は難しい場合があります。
どちらを選ぶべきか?
プリントネームと織りネームの選択は、あなたのブランドのニーズと予算によります。プリントネームはコストが低く、インパクトのある大きめのタグや、複雑なデザインを再現するのに適していますが、長期的な耐久性に欠ける可能性があります。一方、織りネームはコストが高くなる可能性がありますが、長期的な美しさと品質を保証します。
プリントネームと織りネームは、それぞれ異なる利点と欠点を持っています。あなたのブランドのビジョン、デザイン性、予算、そしてブランドのイメージを最もよく表現する方法を選ぶことが重要です。
自分のブランドロゴが、織りネームとプリントネーム、どちらが適しているかなど、ご相談も受け付けておりますので、自分では判断が難しい、迷うときなどは、ロゴやタグのデザインなどを添付してお問い合わせフォームからご連絡ください。
まとめ
織りネームは、ブランドの認知度を向上させ、品質を保証し、ブランドの物語性を強化するための強力なツールになります。ブランド価値を高め、消費者とのつながりを深めるための重要な要素となるでしょう。この機会にお試ししてみてはいかがでしょうか?
以下のページからお見積もり、ご注文が可能です。
この他に、折り加工の用途別ガイドや織りネームの織り方(平織り、朱子織など)による違いなどを解説した記事もございます。是非この機会に織りネームにまつわる「いろいろ」を知ってみるのはいかがでしょうか?
また、織りネームの他にも洗濯ネームや、オリジナル刺繍ワッペン作成。それに弊社の人気サービス、タグの完全除去をした付け替えサービスもございます。
スタッフ一同お待ちしております!
オルターワークス(Alter Works)一同